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随分長い間浮いた話がないので、もしかしてゲイですか?
とまた酒の席で聞かれるようになりました。
ただ単純に出会いが無いだけです。
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一方、自分が20世紀最高の芸術家の一人としているフランシス・ベーコン。
彼は本物のゲイです。今日読み終わったフランシス・ベーコンの伝記
『フランシス・ベーコン 暴力の時代のただなかで、絵画の根源的改革へ』には、
そんな彼の性癖から生き様、時代背景が400ページによって記されています。
第二次大戦下、もの凄い波乱と暴力の時代の中で生きていた彼が感じていたのは、
人間やこの世の残酷さだったようです。
それをどれだけ強く感じていたかは彼の作品を観てもらえれば一目瞭然です。
日頃、この世こそ地獄だと、人生とは苦だと感じている自分には、
「ドブに釣り糸を垂らしているような人生」と自嘲する彼には共感しかないです。
ピカソから影響を受け、それを進化させた彼の作品の歪んだフォルムなどは、
グロテスクですが、何故か美しく気品さえ感じます。
その色使いの巧みさも関係していると思いますが
それは彼の同性同名の祖先、「知識は力なり」と言った16世紀の哲学家
フランシス・ベーコンの由緒ある血筋の影響かもしれません。
彼の生き様や芸術に対しての姿勢をかいま見て、最も考えたことは、
自分はこの時代をどれだけ強く感じているだろうか。ということでした。
現代では自分の感覚や思考を紛らわす媒体が、以前と比べると桁違いにあり、
現実逃避がかなり容易になったように思います。
もちろん、これを悪く言うつもりはなく、ある程度バランスをとらないと、
ただ“生きている”ということを感じにくくなる原因になっているのでは。
と思うのです。
これが過去の芸術家の作品、音楽と現代のそれを比べると、
無色透明な印象を受ける理由なのでは。とも思います。
やはり自分も昭和生まれの人間であり、そろそろ“古い”人間の部類に
入ることを自覚し、その役割を考えていかなけれいけないのかもしれません。
buna