
Year:2008 バルセロナの友人宅にて
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戦後からバブル時代まで、多くの人間が仕事に明け暮れ、
家族と過ごす時間も少なく、家族や自己との対話の時間などをおざなりにして来ました。
他にも理由があるにせよ。これが人間や地域との関係性が軽薄になった理由の1つと言われています。
渡英する以前、理由のわからない違和感があり、大きな変化を自分で起こさなければ、
その淀んだ状況から抜け出せない。そんな脅迫観念に近いものがありました。
そして、海外生活を経験し自分の求めている生活、人生像の明確なたたき台ができました。
少しずつ変わりつつあるとはいえ、この国ではまだまだ難しく、
それは経済的弱者となることを受け止めざるおえません。
このジレンマをどう解決するか。これが今の自分の大きな課題の1つです。
大切なものを、当たり前に大切にしたいだけなんですけどね。
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【映画】100歳の少年と12通の手紙
この映画は10歳のオスカーが、重い白血病にかかり、
自分に残された命が残り数週間ということを知ってしまうことから始まります。
そして、宅配ピザの配達をしている自称元女子プロレスラーのローズとの出会いが、
その彼の残り短い人生を大きく変えます。内容がわかってしまうとアレなので、
あらすじはこのへんにしておきます。
毎日を全力で生きるというのは難しく、
無駄な時間の使い方をしてしまうこともよくあります。
いつ死んでも良いように、できるだけ後悔のない時間の使い方をしなければと
あらためて考えさせられました。
映画のセリフの中で、若い頃はバカでも楽しめるけど、
年老いるまでに洗練されなければいけない。
身体を動かさなくても、楽しめるよう知的喜びを得る術を手に入れなければ。
そんな内容のものがあります。これはかなり納得な意見でした。
自称元女子プロレスラーのローズは、離婚したばかりで、
愛することも、愛されることをも拒絶していました。
死を目の前にしたオスカーとの出会いが、少しずつ彼女を変えていきます。
彼女が抱えていた闇は、人と深く関わることや離別への恐怖だったように感じます。
そして、過去を足かせにするのではなく、未来を切り開く知恵にすることを
学んでいたようにも見えました。
フランス映画の多くは、どうも答えを提示してくれません。
観た人に感じさせ、考えさせることを美学としているようにも思えます。
フランス人の個人主義というのは、
自分で考えることを重要視した結果なのかもしれません。
自分が死を待つベッドの横に、そのときどんな人がいるか、
どんな人がいて欲しいか。想像するのは少しまだ難しいですが、
長年支え合ったパートナーや友人たちにはいて欲しいものです。
buna